会長挨拶

年頭のご挨拶

一般社団法人 日本鋳鍛鋼会会長
太田 大介

皆様、新年明けましておめでとうございます。会員の皆様には日頃より当会活動へのご理解並びにご支援ご協力を賜り心より感謝申し上げます。

2020年以来3年振りの賀詞交歓会開催となります。本年の開催に関しましても、多くの団体様、企業様が早々と中止宣言をされる中、直前まで悩みました。水際対策の緩和、イベントや旅行支援の開始等々、ウイズコロナを目指す中、様々な工夫がなされてきております。本日においても広い空間で常時換気を行っている会場で感染リスク低減を図っております。

さて、残念なことですが昨年当会員企業様で重大な品質におけるコンプライアンス違反が2件連続して発生しました。お客様をはじめ関係省庁様、需要家様また会員企業様を含めた社会全体に多大なご迷惑をお掛けしております。大変申し訳ございません。

個社はもとより業界全体の信用・信頼にかかわることであり、皆様の企業におかれましても今後このようなことがないように、今回の事例を重く受け止め、昨年5月に制定したガイドラインに基づき、品質管理の徹底と再発防止をあらためて会員企業様にお願いいたします。当会としても真摯に受け止め、業界の知恵と経験を結集し再発防止に努め、当業界の信頼回復に努めていきたいと思います。

当業界だけでなく、多くの業界、組織において不祥事が起こっております。このような状況下、ガバナンス(企業統治)の重要性が高まっていることは言うまでもありません。
会員企業の経営者また社員の皆様は、大切にされている理念、そして会社、個人の存在意義を考えながら日々ガバナンスと向かい合っていかなければならないと考えています。

生産する製品の品質、付加価値を徹底的に顧客と向き合い、世に送り出していく。経営者と従業員の間でしっかりこのことが共有できていれば、不祥事を防げるのではないでしょうか。

昨今、コロナ禍の影響からようやく社会が動き始めましたが、まだまだ予断を許せない厳しい状況が続いております。このコロナ禍の影響に加えて、昨今のウクライナ問題、(世界各国に鋳鍛鋼会社工場があり、従来から国際会議、学会等で面識がある方々が多いのですが、ウクライナにも立派な鋳鍛鋼会社工場があります。私も数回訪問したことがあります。現在どのような状況なのかわかりませんが、皆さんのことが心配です。)を起点とする電力料金をはじめとするエネルギー、原材料、副資材価格の高騰によるコスト増が進んでいます。十分な価格転嫁が極めて困難な状況下、各企業様におかれましては、ご苦労されていると思います。

また、米国はじめ各国の利上げによる金融市場の混乱、債務問題による中国経済の減速、加えてカーボンニュートラル、デジタルトランスフォーメーション、グリーントランスフォメーション等、今までのサプライチェーンをはじめとして、業界を取り巻く環境に大きな変化とそのスピードが増し、個社だけでは対応できない数々の問題が増大しております。

炭素排出量の削減に向けて何をすればいいのか、設備を導入する必要があるのかといった言葉をよく耳にします。まずは、難しく考える必要はなく、日ごろ進められているコストダウンにつながる合理化、効率化、省エネ活動を進めていかれることが炭素排出量削減につながっていくのではないでしょうか。

私事ですが、年に3~4回フルマラソンの大会に出場します。年々加齢とともに走るのが厳しくなってきていますが、42K走る間には、苦しくなったり少し楽になったりと交互に波が来ます。そして最後の10K、32K過ぎから苦しさのピークがきます。まだ10K、もう止まりたい気持ちが襲ってきます。ここが頑張りどころ、まだではなく、あと10Kと、自分に言い続け気合を入れ、足を前に出しています。鋳鍛鋼業界もまさにここが頑張りどころだと思います。鋳鍛鋼品は多くのインフラをはじめとして高い信頼性を要求される重要コア部品に多く使われ、それに伴う社会的責任の高まりもますます増大しているとともに、一企業だけでなく国益に影響する技術ノウハウの塊です。歴史ある鋳鍛鋼業界を将来に継承し発展させていくために、立ちはだかる問題を乗り越え、個社では対応できない数々のハードルに皆様とともに向き合って対策を進めていくと共に技術・技能の検討、教育体制、規格の整備等の攻めの体制にも積極的に挑戦したいと思っております。

高い技術に新しい技術を取り入れ、更にその特性を生かして製品設計を考えることに活路を見出すことができると思います。年齢、地位、立場に左右されることなく世界レベルの視野を持って積極的な技術提案や共同開発などいろいろな方法で将来の刈り取りに向けて、明るく力強く進めていくべきだと考えます。

あらためて、当会の活動へのご理解を賜り、積極的なご参加をお願いすると共に、鋳鍛鋼業界を「ONE TEAM」として盛り上げていこうではありませんか。

品質・納期・コスト等々それぞれの状況、立場で多くの課題が立ちふさがり、方向がわからなくなったとき、「なぜ、この会社を立ち上げたのか。」「なぜ、この会社に入ったのか」「なぜ、ものづくりに携わることになったのか」を考えれば、目指すべきところは、そこにあるのではないでしょうか。

一般社団法人 日本鋳鍛鋼会会長 太田 大介

過去の会長挨拶

令和6年(2024年) 年頭挨拶(1月11日新年会にて) 小野田 謙一
令和5年(2023年) 就任挨拶
年頭挨拶 太田 大介
令和4年(2022年) 就任挨拶「力強い健全な業界へ」
年頭挨拶 岩本 隆志
令和3年(2021年) 就任挨拶
年頭挨拶 森 啓之
令和2年(2020年) 年頭挨拶(賀詞交歓会挨拶から)
平成31年/令和元年(2019年) 就任挨拶(鋳鍛鋼業界の発信力向上に向けて)
年頭所感(賀詞交歓会挨拶から) 天野 肇
平成30年(2018年) 年頭所感(賀詞交歓会挨拶から)
平成29年(2017年) 就任挨拶(創立70周年記念祝賀会にて)
年頭所感 仲田 摩智
平成28年(2016年) 年頭所感