会長挨拶

平成29年 年頭所感

一般社団法人 日本鋳鍛鋼会会長
仲田 摩智

平素は、本会の運営に皆様のご支援とご協力を賜り、心より御礼申し上げます。本年、当会は日本鋳鋼会・日本鍛鋼会を前身として70周年を迎えます。5月の総会時に記念祝賀会を開催する予定です。歴史ある当会に、本年も変わらぬご指導、ご鞭撻の程、よろしくお願い申し上げます。

昨年を振り返ると、イギリスのEU離脱、アメリカ合衆国トランプ氏の大統領選出と、国民投票での意外な選択が話題になった年でした。また、タイ国王やキューバのカストロ議長逝去と歴史的な人物が亡くなられ一世代が終わり、時代の転換期に来た感の強い年だったと思います。

我が国の経済状況は、12月の日銀短観等によると景気動向や企業の生産活動が持ち直しと記述されておりますが、詳細はスマートフォン向け部品と自動車をはじめとする輸送機械向け部品が好調であるという分析です。

当会が集計している鋳鋼・鍛鋼の生産実績も鋳鋼はまだ底が割れた状態であり、鍛鋼は自動車関係が徐々に回復傾向にはあるが、国内火力・海外原子力の動向も不透明でエネルギー関連は厳しい結果となっております。

また、当会の昨年を振り返りますと法人化して2年目に入り、取り組んだこととして人材育成のための基礎講座を鍛鋼分野で開設いたしました。

加えて、今後の皆様のグローバル化に少しでもお役に立てればと若手の海外技術交流会を実施することができました。参加いただいた若手の方々には訪問先でそれぞれプレゼンを実施して頂き、海外での経験をより実務に近い形で経験いただく機会を設けました。

続いて取り組みを強化したのは安全であります近年産業関連の事故が増加しており、経産省から安全問題への注意喚起が行われております。当会ではこれを受け昨年労働安全・衛生委員会を立ち上げました。労働災害調査では一昨年の平均度数率は2.42と高いレベルにある中で、やはり安全はものづくりの基盤であり、今後種々分析と共に各種取り組み事例の紹介や会員会社の安全成績改善のために「どのような傾向の災害がどの職種に多いか」、「従来の傾向に対しどの活動が有効か」などを議論しながら活動してまいります。

環境面では温暖化対策の「パリ協定」が昨年11月4日に発効しました。2030年にCO₂排出量26%の削減目標に向け、今後一段と省エネ対策が求められます。当会としてもコスト削減を視野に入れて、協力していきたいと考えています。

今年も先述のような環境が継続すると予想される中で、やはり製造力・製品力の向上が生き残りの基礎ではないかと考えております。その様な観点から今年の当会の活動は引き続き人づくりに注力していきたいと考えています。「安全人間」、「ものづくり人間」、「グローバル対応人間」、こうした人材を育成することで、激しい環境変化に対応できるフレキシビリティーが生まれ、それが会員各社様の確実な向上に寄与するものと期待しております。具体的には、安全について具体的な対応策の策定に着手してまいります。人材育成では昨年の鍛鋼分野の基礎講座に続いて、鋳鋼分野の基礎講座、鍛鋼分野では対象年齢をもう少し上げた中堅講座に繋げていきたいと考えております。グローバル化に対しては、今年は鋳鋼分野でも同様の交流団派遣を検討してまいります。

最後に今年は酉年であります。酉という字はお酒を作る器を意味しており、成長・熟成を表しているそうです。当会も法人化して3年目に入ります。今年はこの酉に因みまして、当会の活動並びに会員各社様の活動が成長、熟成し、皆さまにとりまして良い一年になることをご祈念申し上げ、新年のご挨拶とさせていただきます。

一般社団法人 日本鋳鍛鋼会会長 仲田 摩智(新日鐵住金株式会社 常務取締役)

過去の会長挨拶

令和6年(2024年) 年頭挨拶(1月11日新年会にて) 小野田 謙一
令和5年(2023年) 就任挨拶
年頭挨拶 太田 大介
令和4年(2022年) 就任挨拶「力強い健全な業界へ」
年頭挨拶 岩本 隆志
令和3年(2021年) 就任挨拶
年頭挨拶 森 啓之
令和2年(2020年) 年頭挨拶(賀詞交歓会挨拶から)
平成31年/令和元年(2019年) 就任挨拶(鋳鍛鋼業界の発信力向上に向けて)
年頭所感(賀詞交歓会挨拶から) 天野 肇
平成30年(2018年) 年頭所感(賀詞交歓会挨拶から)
平成29年(2017年) 就任挨拶(創立70周年記念祝賀会にて)
年頭所感 仲田 摩智
平成28年(2016年) 年頭所感