会長挨拶

年頭挨拶(賀詞交歓会挨拶から)

一般社団法人 日本鋳鍛鋼会会長
松尾 宗義

皆さま、新年あけましておめでとうございます。本日は、ご多忙の中、「日本鋳鍛鋼会 賀詞交歓会」にご臨席賜り、誠にありがとうございます。会員企業の皆さまをはじめ、日頃より当会活動にご支援を賜っている関係者の皆さまに、まずもって深く御礼申し上げます。

昨年を振り返りますと、世界経済の不透明感は続き、私たち鋳鍛鋼業界にとっても厳しい環境が続きました。特に、エネルギー問題や地政学リスク、サプライチェーンの混乱など、さまざまな課題が私たちの業界に影響を与えました。これにより、原材料費や物流コストの上昇、供給遅延が発生し、企業活動に深刻な影響を及ぼしました。また、米国の第2次トランプ政権による「トランプ関税」の発動は、日本企業にとって新たな挑戦となり、アメリカ市場向けの輸出競争力の低下やコスト構造の見直しを余儀なくされました。このような困難な環境の中で、私たち鋳鍛鋼業界が発展を続けるためには、柔軟かつ迅速な対応が求められます。
一方で、昨年は日本国内でも歴史的な出来事がありました。日本初の女性総理大臣の誕生は、憲政史上初の女性リーダーの登場という画期的な出来事でした。この出来事は、日本社会に新たな風を吹き込み、政治や経済における変革を加速させる象徴的な瞬間となりました。新政権が掲げる「全員活躍」や「経済安全保障」といった政策は、私たち製造業にとっても大きな意義を持ちます。これらの取り組みが産業競争力の強化やサプライチェーンの安定化を目指すものであり、私たちの業界にとって前向きな方向性となることを期待しています。

こうした社会的、政治的な変化の中で、私たちの業界は持続可能な発展に向けて次の一歩を踏み出すべき時が来ています。鋳鍛鋼業界においては、技術革新や生産性の向上、安全管理の強化など、いくつかの重要な課題がありますが、その中でも特に注力したいのは、次の3つのテーマです。

第一に、コスト上昇分の価格転嫁を適切に進めることです。
昨今、原材料費やエネルギーコスト、人件費の上昇はもはや一時的な現象ではなく、今後も継続的に私たちの事業環境に影響を与え続けると予測されています。特に、世界的なインフレ圧力や物流コストの増加、関税政策の変更が企業にとって大きな課題となっています。このような状況の中で、適正な価格転嫁を行い、持続可能な供給体制を維持することが不可欠です。価格交渉は決して簡単ではありませんが、私たちの強みである品質や信頼性、安定供給をしっかりと伝え、取引先との協力の下で、共に持続可能な関係を築いていくことが重要です。

第二に、DX(デジタルトランスフォーメーション)の活用推進です。
労働人口の減少や技能者の高齢化が進む中、生産性の向上と技術の見える化は急務です。
データー活用による「品質予想」「設備稼働の最適化」「工程管理のデジタル化」など鋳鍛鋼業界でもDXの取り組みは広がりつつありますが、さらなる底上げを図る為に、鋳鍛鋼協会として、「DX推進セミナー」「工場見学会」や「システム活用事例の紹介」など会員企業が一歩踏み出しやすい環境整備に協力できる仕掛けを考えていきたいと思います。

第三に、安全文化のさらなる強化です。鋳鍛鋼業界は、重量物や高温作業など、常にリスクが伴う環境であり、安全は単なる「コスト」ではなく「価値」として捉えなければなりません。昨年、業界全体で安全意識の向上に向けた取り組みが進みましたが、今後はさらに一歩踏み込んで、作業環境の安全性を高めていく必要があります。安全対策には、教育の徹底や危険予知活動の強化、設備への安全投資が不可欠です。「安全はすべてに優先する」という理念を胸に、業界全体で安全文化をさらに深めていくことが必要です。
また、本年は、昨年の流行語大賞にも選ばれた高市総理の「働いて働いて働いて働いて働いてまいります」という言葉が象徴するように、日本全体が「働くことの意味」を再認識する年となるでしょう。この言葉は、単なる長時間労働を奨励するものではなく、「自らの意思で働き、社会に貢献する」という覚悟を示しています。私たち業界全体においても、働くことの意義を再確認し、働く人々が誇りを持って働けるような環境づくりが求められています。新しい技術を生み出し、社会に安心を届け、仲間との絆を深め、次の世代にその精神を引き継ぐ働き方を目指して、業界全体で取り組んでまいります。

次に、私事ではありますが、今年の干支は「午年」であり、私は「年男」にあたります。午年はエネルギッシュで活力に満ちた年とされています。過去の午年には、1994年のドイツ再統一や2002年のユーロ導入など、世界の政治や経済に大きな影響を与え、新たな未来を切り開いた年でもあります。この干支にちなんで、私もさらに精力的に業界の発展に貢献していく所存です。今年一年、鋳鍛鋼業界の発展に向けて、皆さまと力を合わせて取り組んでいきますので今まで以上のご指導・ご鞭撻を宜しくお願いします。

結びになりますが、本年が会員各社の皆さまにとって、また鋳鍛鋼業界にとって、飛躍の年となることを心より願っております。新しい挑戦を共に乗り越え、共に成長していける一年にしていきましょう。会員各社の皆さまのご健勝とご繁栄をお祈り申し上げます。
新年のご挨拶とさせていただきます。

一般社団法人 日本鋳鍛鋼会会長 松尾 宗義

過去の会長挨拶

令和8年(2026年) 年頭挨拶(賀詞交歓会挨拶から) 松尾 宗義
令和7年(2025年) 会長就任のご挨拶
年頭挨拶 小野田 謙一
令和6年(2024年) 年頭挨拶(1月11日新年会にて)
令和5年(2023年) 就任挨拶
年頭挨拶 太田 大介
令和4年(2022年) 就任挨拶「力強い健全な業界へ」
年頭挨拶 岩本 隆志
令和3年(2021年) 就任挨拶
年頭挨拶 森 啓之
令和2年(2020年) 年頭挨拶(賀詞交歓会挨拶から)
平成31年/令和元年(2019年) 就任挨拶(鋳鍛鋼業界の発信力向上に向けて)
年頭所感(賀詞交歓会挨拶から) 天野 肇
平成30年(2018年) 年頭所感(賀詞交歓会挨拶から)
平成29年(2017年) 就任挨拶(創立70周年記念祝賀会にて)
年頭所感 仲田 摩智
平成28年(2016年) 年頭所感